コラム

職場環境の測定・分析からはじめる「働き方改革」

2018/04/03 編集部
by 編集部

はてなブックマーク

会員登録(無料)

※個人情報の取り扱いについて

「職場環境」から見る生産性

企業のオフィスや公共施設へのオフィス家具供給、ICTインフラ構築事業等を手がける内田洋行。
近年取り組みが加速する「働き方改革」分野において、同社は働く場の“環境”から生産性の向上を目指す試みを提案している。
取り組みのひとつが国産木材を活用したオフィスづくり。同社では「感じいい」空間づくりをキーワードに、オフィススペースや公共スペースに宮崎県産の杉材の使用を提案しており、木材が視覚や触覚に与える心地よさや杉材からの揮発成分による機能性などを訴求している。
もうひとつ同社が重要視する取り組みは、働く場における環境の把握とその改善。同社でスマートビル事業を統括する山本哲之氏は「現在の働き方改革では、とかく残業時間の削減がいわれがちですが、それは働き方改革の一側面。仕事に集中できる環境を維持し、時間あたりの生産性を向上させることこそが本来の目的です」と話す。

内田洋行が良品計画とともに販売に力を入れている「日本の木のワークスペース」。過ごす人の居心地のよさとともに、コミュニケーションの創出を意図してデザインされており、こういった考え方はクリニックや病院の設計にも活かせるところだろう。国産木材の端材を使用することで、地産地消にもつながっている

生産性の高い仕事、また創造性の高い仕事のためには、集中状態とリラックス状態のバランスが重要である。このバランスを保つうえで温湿度、CO2濃度、照度といった“環境”は重要な要素であり、空気環境や照度は産業医による職場巡視の際にもチェックされる項目のひとつだ。不適切な職場環境は従業員の健康問題につながることもあるが、同社はIT技術により仕事に集中できる職場環境の実現を提案している。

空気環境測定の落とし穴

病院・介護施設などでは、壁面に備えられた温湿度計で職員が居室内の環境をチェックしているところも多いが、ありふれたこの測定方法にも、実は落とし穴があるという。
「居室内の片隅に備え付けられた温湿度計の値では、その周辺のスポットの値しか見られていない可能性が高い。患者さんや入居者に近いところとは値が異なる可能性があります」(山本氏)。
オフィスビルにおける空気環境測定では居室内の温度のほか、空気中の一酸化炭素(CO)・二酸化炭素(CO2)・揮発性有機化合物の濃度を測定する。特にCO2は1,200ppmを超えると眠気を催して集中力の低下に影響する、目に見えない生産性の阻害要因だ。そのため空気環境の把握は重要であるが、空気環境測定の際に測定員が業務中の従業員に配慮して居室の隅で測定してしまうことで、まさに従業員が働いている「その場」での数値が測定できていない可能性があるという。

ワイヤレスセンシングで空間を詳細に分析

こういった問題に対して、同社では最新のセンシング技術とネットワーク技術を組み合わせたソリューションを提供。温湿度・照度・CO2濃度などを計測できるワイヤレスセンサーは給電・配線が不要であるため場所を選ばず設置でき、経時的に蓄積された測定データからは居室内での人の動きの傾向などを分析することも可能になる。

CO2センサー(左)とセンサーにより取得された環境の数値(右)。ワイヤレスセンサーは設置場所を柔軟に選択できるため、きめ細かな環境の把握が可能になる

「ワイヤレスネットワーク技術の発達により、居室内のさまざまなデータが取得できるようになり、職場の環境の問題が見える化されました。しかし、見える化できただけではまだ解決には至りません。見えてきた環境を制御するところまでできて初めて、快適で生産性の高い環境が実現できると考えています」と山本氏は言う。

内田洋行では照明やテレビ会議を音声でコントロールするシステムなども開発しており、室内環境の測定やコントロール手法は今後さらなる進化が見込まれている。働く場の環境の測定と、その値に基づいたコントロールを通して健康的な職場、ひいては生産性の高い職場環境つくる試みは、今後ますます注目される分野となりそうだ。

続きは、会員ログインをして
お読みください。
ログイン※パスワードをお忘れの方はこちら

^