提言:患者・医師・国・社会、“四方よし”のオンライン診療のために

2018/07/17
by 編集部

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「よりよいオンライン診療のためにエビデンスを蓄積していきたい」と語る原氏(右)。原氏が代表を務める日本臨床研究学会でともに臨床研究の推進にかかわる榛葉喬亮氏(左)

「よりよいオンライン診療のためにエビデンスを蓄積していきたい」と語る原氏(右)。原氏が代表を務める日本臨床研究学会でともに臨床研究の推進にかかわる榛葉喬亮氏(左)と
撮影:DMM. make Akiba

オンライン診療の普及が患者・医師・国・社会に与えるインパクト

原氏は、それらのデータを収集するために、複数の医療機関と連携してすでに臨床研究に取り組んでおり、効果のほどを実証していきたいという。
オンライン診療の普及によるメリットがあるのは、患者だけではない。医療機関で働く医師はもちろん、社会にまで大きな影響を与える可能性がある。
「出産・育児で現場を離れざるを得ない女性医師は多くいます。オンライン診療によって、彼女たちの活躍する場ができる可能性があります」。
勤労意欲はあるものの、当直勤務ができなかったり、子どもが病気になったときに休まなければならなくなったりと、周囲に気を遣って現場から離れる女性医師も多い。しかし、オンライン診療の本来のメリットをうまく生かすことができるようになれば、出勤せずとも診察をすることが可能だ。空き時間を利用して仕事が継続でき、キャリアが断絶することもなくなる。
また、夜間救急外来へのコンビニ受診の増加という社会問題も解決できる可能性があるという。
「救急外来へコンビニ受診する人のなかには、病気はきちんと治したいが、日中に時間を取ることが難しく夜間に受診することになってしまうという方も多いのです」。
こういった患者さんは病院の適正受診という観点から非難されることもある。治療を受けたいと思っている患者さんの受診機会が失われているのだ。そういった人たちがオンライン診療を利用できれば、病院に行く時間が限られていても治療を受ける機会が増える。
もっと気軽に受診ができれば、生活習慣病の安定したコントロールによって脳梗塞や心筋梗塞等の重大疾患の発症予防をより幅広く行うことが可能となり、将来的には国全体の医療費削減にもつながる可能性がある。医療費が下がれば、同時に社会保険料を下げることもできるだろう。
現状、オンライン診療は制度上の制約でそのメリットを十分に発揮できる環境にないといえる。臨床研究によって適切にエビデンスを重ねていき、効果を証明することができれば、個人の健康問題から日本の医療における社会問題まで解決できる手段になることが期待できる。

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