ホスピタリティで患者を癒す~マレーシアのメディカルツーリズム~


原生林が生い茂るジャングルや美しいビーチ、大自然を生かしたアクティビティ、世界遺産など観光資源が豊富なマレーシアだが、近年メディカルツーリズムに力をいれている。昨年は、海外から約77 万人がマレーシアに訪れた。日本アジアクロスASEAN戦略コンサルタントのキーフ・ウォン・ワイキット氏にマレーシアのメディカルツーリズムの魅力や実力について話を聞いた。
マレーシアの自然
「価格」、「受けたい医療があるか」などが選択の決め手
メディカルツーリズムの本来の意味は、「自らが住んでいる土地以外で医療や治療を求める行為」のことを指し、例えば、沖縄の人が東京で治療を求める行為も含まれる。
日本アジアクロスのキーフ氏は「アメリカでは、歯の治療代が高く、保険もカバーしていない。そのためメディカルツーリズムで、南米に行き歯の治療を受ける方が非常に増えています」と語る。また、日本にいるとどうしても富裕層のイメージが強いが、世界的に見ると必ずしもそうではないという。「ローンやお金を借りて訪れる方もいらっしゃいますし、自国と比較して比較的安価に治療を受けられるケースが多いので、富裕層でない方も大勢訪れています」とキーフ氏。キーフ氏に、メディカルツーリズムの際、何が選ぶ決め手になるのか聞いてみると「(1)低価格、(2)受けたい治療があるかどうか、(3)待ち時間が少ないこと、(4)プライバシーの保護、(5)個人理由」だという。先進諸国では、手術までに時間がかかることがあり待ち時間が少ないことも、選択肢の重要なひとつだ。
不妊治療のメディカルツーリズムに力を入れるマレーシア
年間約77万人もの人が、メディカルツーリズムで訪れているマレーシア。その魅力について聞くと、「日本はガンや再生医療など分野によって高い医療技術をもっていますが、突出したものがないかわりにマレーシアは全体的に医療レベルが高い。そのため患者の多様なニーズに柔軟に応えられるのが魅力だ」とキーフ氏は語る。中でも、今マレーシアでは、政府のバックアップのもと、不妊治療(体外受精)に力をいれている。マレーシアでは、着床前に遺伝子診断をすることができ、これにより事前に遺伝的な病気はないか、遺伝子の異常性がないかをチェックしてから不妊治療を行うことができる。そのため、マレーシアの成功率は約60%にも及び、流産率も低下しているという。
また、マレーシアには豊富な観光資源もあり、治療の合間には雄大な自然をはじめ世界遺産まで堪能することができ、患者を飽きさせない工夫が国全体で施されている。
世界遺産地区ジョージタウンのシティホール
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