ホスピタリティで患者を癒す~マレーシアのメディカルツーリズム~

2016/09/23
by 編集部

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一貫した患者へのホスピタリティ

マレーシアでメディカルツーリズムの認定を受けた医療施設は約70箇所。政府が力をいれていることもあり、病院のシステムから思想、レイアウト、デザインに至るまで徹底的に患者のホスピタリティを考えて設計されている。まず、医師は、病院に雇われているのではなく、病院のスペースを借りて診療を行うというスタンスが取られている。これは、医師から煩わしい病院経営のストレスを取り払うと同時に、自分の専門分野に集中してもらうためだ。このシステムは医者にとって責任が重く、技術がないと患者の支持を得られず、病院を去る結果となる。また、患者に対する態度も重要視される。さらに、政府は患者へ医師情報の透明化を徹底しており、医師は、毎年患者の数、死亡率などを届け出なければならない。これらのシステムにより、自然と病院は優良な医師しか生き残れない仕組みが出来上がっている。万が一、医療ミスが遺族から指摘された際は、病院は8時間以内にすべてのデータとともに、政府へ報告しなければならず、マレーシアでは医療訴訟も起こりにくいとキーフ氏は語る。

メディカルツーリズムを受け付ける病院 のロビー

メディカルツーリズムを受け付ける病院のロビー

患者へのホスピタリティは病院の設計、サービスに至るまで配慮されている。患者に早期回復を促すような心地良い空間を作るため、壁の色からインテリアまで考え抜かれており、患者のストレスを排除するため病院内では薬や消毒の匂いも一切しないという。院内には、患者のためのレストランをはじめ、希望者には専属のシェフが付き、病気や身体の状況に配慮したオリジナルメニューが食べられる。また、患者には各国の要人や大手企業の役員も多いことからバトラー(執事)を付けることができ、本国との連絡やメール、ファックスなど簡単な業務であれば代行も可能だ。

キーフ氏は、一貫した患者へのホスピタリティは、マレーシアの国民気質にあるという。「マレーシア人は、まず困っていた人がいたら助ける、というのが基本です。そのために真に患者のことを考えたサービスが可能なのです」とキーフ氏。

今後日本との提携も含め、様々なメディカルツーリズムのプロジェクトを成功させていきたいとキーフ氏は語った。

ホテル並みの病室

ホテル並みの病室

国際ビジネスラウンジを完備

国際ビジネスラウンジを完備

豪華な病室トイレ

豪華な病室トイレ

マレーシア

東南アジアの中心に位置するマレーシアは、マレー半島とボルネオ島の一部・サバサラワク州から構成。国土面積は33万338平方キロメートル。国土の約60%が熱帯雨林で覆われている。また、マレーシアはマレー系・中国系・インド系、その他多数の部族に分けられる先住民族で構成される多民族国家。国土は、南国の美しいビーチ、熱帯雨林、魅力的な島々、神秘的で荘厳な山々など自然美に溢れ、ペナン島のジョージタウン、ペラ州のレンゴン渓谷、キナバル国立公園、グヌン・ムル国立公園など、世界遺産も各所に散らばる。

人口:
約3000万人
首都:
クアラルンプール
宗教:
イスラム教(ただし、宗教の自由を認める)
時差:
約1時間
公用語:
マレーシア語
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