市庁舎の災害時館内放送は、やさしい日本語で流す

2017/03/28
by 編集部

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インターネットを駆使して情報収集

しかし、その作業は紆余曲折の連続だったという。「課内にはやさしい日本語に詳しい職員がおらず、日頃から在住外国人と接している市民局などにも相談しました」と苦労を打ち明ける。

市民局のダイバーシティ推進室人権企画課では、在住外国人向けにやさしい日本語による、さまざまな情報を集約して発信しており、ホームページにも「やさしいにほんごによるじょうほうはっしんいちらん」を掲載し、危機管理室、福祉局、健康局、環境局などの日常生活に必要な情報を掲載している。総務局もこの情報発信一覧に、ルビをふった日本語とイラストによる庁舎案内をこれまで載せていた。地図による案内と違い、状況に応じて変わる災害時館内放送は初めての試みで、どのような用語をどう使えばいいのかわからなかった。参考にしたのがインターネットだった。

「とりわけ、専門的な知識を持ち合わせているわけでもなく、どのような表現をどう用いれば分かりやすいのか、インターネットを最大限活用して多くの事例を調べ、参考にしました」と語る。たとえば、弘前大学人文学部のやさしい日本語についての情報や、全国の自治体の取り組みなどについても参考にしたという。

こうした情報を集めながら1年ほどかけて、災害時のアナウンス文を作り上げた。特に注意したのは、聞き取りやすいよう短いフレーズで、こどもにも分るような平易な単語を使い、要点だけを的確に伝えることだった。

想定した状況は、①火災報知器の作動 ②火災の発生 ③火災報知器の誤作動 ④地震の発生 ⑤地震にともなう速やかな避難 ⑥建物・設備に影響がない場合 ⑦爆破等の予告(事前周知)⑧爆破等の発生の8つ。

このうち、火災報知器が作動した場合のアナウンスは『気をつけてください。火事を知らせるベルが鳴っています。今はエレベーターを使わないでください。火事について新しいお知らせがあるときはすぐにお知らせします。放送をよく聞いてください。』と放送する。

また、地震が発生した場合は『地震です。頭を守ってください。建物の安全を調べています。エレベーターは使えません。また揺れるかもしれません。気をつけてください。安全なところへ逃げてください。』と伝える。

一方、爆破等の予告は『今日の〇時△分にこの建物で爆発があるかもしれません。今、警察が調べています。各階の真ん中の2カ所の階段と各階4カ所ある階段で建物の外へ逃げてください。近くの階段で建物の外へ逃げてください。押し合わず逃げてください。職員はご来庁者の方が安全に避難できるよう行動してください』とアナウンスする。

災害時の館内放送は、感知設備により自動的に音声が流れる仕組みになっているが、やさしい日本語による放送は、手動で行われ、庁舎管理グループの職員か警備員が災害の状況や建物などへの影響に応じて、放送内容を判断し読み上げる。発声や読むスピードにも工夫を施している。また、4月に施行された障がい者差別解消法を受け、時間内放送に加えてイラストとやさしい日本語によるパンフレットも作成した。

非常時にどう速やかに対応すればいいのか、大阪市はその解決策の一例を示している。

大阪市役所作成、とやさしい日本語によるパンフ レット

こどもにも分るような平易な単語を使い要点だけを的確に伝える

出典:大阪市ホームページより

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