災害拠点病院としてのBCP機能も充実

2017/02/24
by 編集部

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冷暖房は天井輻射冷暖房

一方、設備的な手法は①蓄熱槽の設置、井水、雨水の利用など貯水で水を無駄なく使い、②太陽光発電やコ・ジェネで創エネし③EMSで賢く利用した。なかでも病棟は特徴的で、冷暖房に天井輻射冷暖房を採用し換気は省エネ換気システムにした。

「エアコンのような直接冷温風を送る方式は風を不快に感じる方も多く、とくに人工透析など長時間横になる患者さんの中には冷温風を“針が刺さる”と感じている方もいるようです」と従来の室内機の問題点を指摘する。

天井輻射冷暖房は、空気をかき混ぜない空調方式で、室内の温度を均一に保ちやすく、たとえば冷房運転で輻射パネルに16℃~18℃の冷水を循環させた場合、天井面19℃、壁床面27℃となり、室温は28℃のまま維持される。また、空気をかき混ぜない空調システムのため院内感染防止にも役立つ。同社の実証実験によると室内機を利用した従来方式の場合、在室60分程度で足元の体温低下となるが、天井輻射冷暖房方式は足元を含め体温に変化が見られなかったとする。

また換気は臭気センサーで換気風量を制御するシステムで、室内の空気の質に合わせ換気量を適正に削減するとともに室内空間の快適性も向上する。

たとえば泌尿器科病室の実証実験では、患者の活動する午前6時頃から午後5時頃までの時間帯に臭気が強くなり、就寝する夜間は臭気も緩やかに弱くなり、換気量も減少した。病室内の照明は、ベッド毎に点灯制御ができるLEDパーソナル照明方式とし省エネルギーと快適な照明環境を提供している。

各ベッドのメイン照明はブラケット型とし、上向きの全般照明と下向きの手元読書照明を組合せた器具とした。光源が直接目に入ることが無いように下向きの光は間接光となっている。また、天井面にはベッド上を広範囲に照らし、かつ寝た状態でも光源が見えにくい深型LEDダウンライトを設置し、処置時の明るさを確保する役目とともに、食事や読書等多用途に使える明かりとして活用が可能となっている。

更に廊下側の壁面をLED間接光で照らし、室内の明るさ感や空間の広がり感の向上も図っている。

省エネルギー換気システム

省エネルギー換気システム

6ℓの超節水型トイレ

病室に併設されたトイレも省資源を追及している。病院で水洗する汚物は家庭のトイレよりも流れにくく、大便器に流す1回あたりの水量は節水型便器で8ℓ、従来型便器で13ℓとされている。このため病院の衛生陶器に占める水の消費量の6割を大便器で占めており、その低減策も必要となっていた。

そこで衛生陶器メーカーと共同で6ℓまで抑えた超節水型の便器を開発し省資源化を図った。取り付け場所も従来のような床ではなく壁掛け式のタイプとし、清潔感を提供した。こうした病棟の省エネ対策により、年間1次エネルギー消費量が一般的な病棟と比べて27%の削減となった。

部門毎の省エネルギー

部門毎の省エネルギー

運用面の省エネ

設備の運用は省エネ運転ナビゲーションシステムで行われ、毎日収集したデータを分析して翌日の運転から活かしている。機器の不具合もシステムでわかるので故障や更新時期も的確に把握できるという。また、省エネ化によりBCPとしても注目されている。より少ないエネルギーで施設運用ができるため外部からのエネルギー供給が途絶えても院内の複数の電源で対応でき、災害時でも安心安全な病院となった。

LEED

環境性能評価は日本初のLeed―Healthcareゴールドの取得を始め、CASBEEでSランク、ZEB推進事業も採択された。「理事長の“世界に向けて発信する大学病院”という想いが伝わってくる」とし、今後はZEB化とともに街区全体の省エネ化にも取り組みたいという。

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