迫りくるリスク! 温暖化の影響と将来予測

2017/02/23
by 編集部

はてなブックマーク

世界で多発する「異常気象」

近年、世界中で極端な気象現象が観測されている。強い台風やハリケーン、集中豪雨、干ばつや熱波などの異常気象による災害が各地で発生し、多数の死者を出したり、農作物に甚大な被害をもたらしたりといったことが毎年のように報告されている。

2013年11月にフィリピンに上陸した台風第30号(ハイエン)によって6200人以上が死亡した。日本においても、2014年8月に広島市三入で最大1時間降水量101mmという観測史上最高の降水量を記録し、大きな被害をもたらしたことは記憶に新しい。

IPCCの第5次評価報告書(AR5)は、今後、世界平均気温が上昇するにつれて、極端な高温がもっと増えることはほぼ確実であり、熱帯や中緯度地域で大雨の頻度が増す可能性が非常に高いと指摘している。

止まらない氷床・氷河の融解

陸温暖化によって世界中の氷河が縮小し続け、とくに世界の氷河の 1割を占めるグリーンランドで融解が加速している。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2012年5月に打ち上げた第一期水循環変動観測衛星「しずく」によって、2012年7月12日にグリーンランドの氷床表面が全面にわたって融解していることが観測された。このほかヨーロッパのアルプス地方や南米ボリビアなどの山岳地帯にある氷河の融解も進んでおり、スキーリゾートなどの観光資源や、水力発電などのエネルギー供給への影響が出始めた。

氷河の融解は、海面水位の上昇を引き起こす要因にもなっている。世界の平均海面水位は、1993~2010年の間に約 60mm上昇しましたが、その約半分が氷河の融解によるものと考えられている。

全面融解

全面融解

出展:パンフレット「STOP THE 温暖化 2015」環境省より

上昇する海面

1901 ~ 2010年の110年間に世界の海面水位は、1年当たり平均で約1.7mm上昇したが、1971 ~ 2010年の40年間では同約2.0mm上昇し、とくに1993 ~ 2010年の直近の18年間では、同約3.2mmと急激に上昇している。

最大の原因は、海洋の熱膨張によるもので、次いで氷河の減少、グリーンランド氷床の減少、南極氷床の減少などが要因として挙げられる。これらはいずれも、温暖化による影響が関与しているとみられている。

世界の平均海面水位は、21世紀末には、最も温暖化が進む「RCP8.5」シナリオで45 ~ 82 cm、最も温暖化を抑えた「RCP2.6」シナリオで26 ~ 55 cm上昇すると予測されている。

海面水位の要因別の上昇率( 1993 〜 2010年)

海面水位の要因別の上昇率( 1993 〜 2010年) 

海面上昇への寄与を要因別にみたグラフ。これらの寄与の合計に よって観測された世界平均海面水位上昇を高い割合で説明できる

出展:パンフレット「STOP THE 温暖化 2015」環境省より

生態系の異変・感染症
リスクの拡大

地球温暖化がもたらす気温や海水温の上昇などによって、陸上や海、淡水などにすむさまざまな生物、生態系に影響が現れ始めている。世界各地で、枯れる森林、動物の生息地の変化や個体数の減少などが報告されている。

流氷の上を渡り歩く白熊/ Wikimedia Common

流氷の上を渡り歩く白熊/ Wikimedia Common

世界の平均気温は最大4.8℃の上昇も

IPCC第5次評価報告書によれば、2081年から2100年の世界の平均地上気温は、1986年から2005年の平均よりも最小で0.3℃、最大で4.8℃上昇すると予測している。陸地は海よりも気温が上がりやすく、北極や南極など極域の気温上昇が大きいとみられている。予測に0.3 ~ 4.8℃と開きがあるのは、温暖化対策の実施の仕方による「シナリオ」(仮説)が異なることによる。

CO2排出削減などの温暖化対策を今以上に施さなかった場合の(最も温暖化が進む)「RCP8.5」シナリオでは2.6 ~ 4.8℃の気温上昇が予測される。一方、可能な限りの温暖化対策を施した場合の( 最も温暖化を抑えた)「RCP2.6」シナリオでは、0.3 ~ 1.7℃と予測されている。

グローバル土地海洋温度指標

グローバル土地海洋温度指標

出展:NASA GISS

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
^