迫りくるリスク! 温暖化の影響と将来予測

2017/02/23
by 編集部

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北極海の海氷が減少する

21世紀中に北極海の海氷は縮小し、薄くなることが予測される。IPCC第5次評価報告書では、最も温暖化を抑えた「RCP2.6」シナリオでも、21世紀末には9月の海氷の面積が現在より43%減少することが予測されている。一方、最も温暖化が進む「RCP8.5」シナリオの場合、21世紀の半ばまでに夏季(9月)の北極域の海氷が、ほぼなくなる可能性が高いと指摘されている。

北極だけでなく、北半球全体にも影響が及び、特に北半球の春の積雪面積が減少する可能性が非常に高いと予測されている。

海氷が減少する北極海/ Wikimedia Common

海氷が減少する北極海/ Wikimedia Common

CO2排出量が増えるとリスクが増大(将来予測)

IPCC第5次評価報告書では、気候変動がもたらす将来のリスクを「主要な8つのリスク」として挙げている。

①面上昇、沿岸での高潮、②大都市部への洪水、③極端な気象現象によるインフラ機能停止、④熱波による死亡や疾病、⑤気温上昇や干ばつによる食料安全保障、⑥水資源不足と農業生産減少、⑦海洋生態系の損失、⑧陸域と内水の生態系がもたらすサービスの損失の8つ。

「生態系や文化など固有性が高く脅威にさらされるシステムへの影響」「極端な気象現象」「農作物や水不足などの地域的な影響」「生物多様性の損失などの世界的な影響」「氷床の消失などの大規模な特異現象」の5つの包括的な懸念材料が、気温上昇とともに危機的な状況になると警告している。

現在と比べて気温が 1℃上がると、台風や熱波などの極端現象のリスクが高まり、2℃上がるとサンゴ礁など適応能力の低い生態系が非常に高いリスクにさらされる。3℃以上では、地球全体で生物多様性が減少して生態系サービスが失われ、人間の社会にも大きく影響すると予想されている。

こうしたリスクを減らすためには、将来にわたってCO2排出量を抑制することが非常に重要なのだ。

CO<sub>2</sub>排出量が増えるとリスクが増

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主要穀物の収量が低下(実際に観測された影響)

気候変動は、食料の生産量とも密接な関係がある。

小麦、大豆、米、トウモロコシの主要4農作物でみると、小麦が最も気候変動の影響を受け、収量に大きなマイナスの影響が出ている。米やトウモロコシについても同様にマイナスになる。

主要穀物の収量が低下

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海洋生態系で高まるリスク

温暖化によって、海洋にすむ生物の分布の変化、生物多様性の低下、さらに局所的には絶滅の危機にさらされる生物種の増加が予測されている。この結果、漁業の生産性や、さまざまな生態系サービスの利用に影響が出る。

急激な温暖化は、生物種が冷たい水を求めて高緯度地域に移動したり、深海に潜ったりするなど、生態系の変化に影響を及ぼす。このまま温暖化が進むと、ある国の沿岸水域から、漁業で収益をもたらしていた生物が姿を消してしまうことも考えられる。

またCO2濃度の増大によって海洋の酸性化が進み、植物プランクトンから動物までの個々の生物種の生態に影響が出ると予測されている。

海洋生態系で高まるリスク

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高潮や海岸侵食に脅かされる沿岸域・小島(将来予測)

気候変動が及ぼす海面水位の上昇は、沿岸や低平地、小島嶼に住む人々の暮らしに大きな影響を与える。台風による高潮や浸水、沿岸域の氾濫、海岸侵食による被害をより多く受けることになる。

2081 ~ 2100年の洪水の頻度を1986~ 2005年と同程度に留めるために必要な堤防のかさ上げ高の予測を示したところ、アメリカ東部沿岸では70cmを超える堤防のかさ上げが必要となる個所が出てきた。日本でも50 ~ 70cmの堤防のかさ上げが必要となる。

アメリカの河川洪水による年間被害額は、現時点では約20億ドル。しかし、これが2100年までには 70 億~190億ドルへと大幅に増加すると予測されている。洪水管理設備が存在しないまま都市化を進めることにより、気候変動による洪水の影響を一層増加させる場合があると、IPCC第 5 次評価報告書は警告している。

高潮や海岸侵食に脅かされる 沿岸域・小島

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