迫りくるリスク! 温暖化の影響と将来予測

2017/02/23
by 編集部

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水問題は干ばつと洪水の二極化へ(将来予測)

飲料水はもとより、農業、工業などでも不可欠なのが海水ではない水、すなわち「淡水」。温暖化が進むと、淡水に関連するリスクが、著しく増大する。

そのひとつが水不足。最も温暖化が進む「RCP8.5」シナリオでは、現在の乾燥地域で干ばつの頻度が 21 世紀末までに増加する可能性が高くなり、乾燥亜熱帯地域では、再生可能な地表水と地下水の資源が減少すると予測されている。こうした水不足により、エネルギーと農業など産業の分野をまたいだ水資源獲得の競争が激しくなり、紛争に発展する可能性も高い。

逆に、高緯度地域では水資源の増加が予測される。大雨による堆積物や汚染物質の増加、洪水による処理施設への障害などは、水道原水の質を低下させ、飲料水にリスクをもたらすと考えられる。

20世紀では100年に一度発生するような規模の洪水にさらされる世界人口が、これから2100年頃には年間 1 億人がこうした大洪水にさらされることになる。

危機に瀕する生態系(実際に観測された影響)

気候変動によって、陸上と淡水に生息する動物や植物などの生物種の大部分について、絶滅のリスクが増えると予測される。一方で、生息地の改変や人間による乱獲、生息地の汚染などといった気候変動以外のストレス要因も高まっており、こうした要因との相互作用によって、絶滅へのリスクは一層高まる。

多くの生物種が、気温の変動に追従するために適切な生息環境へ移動することができず、温暖化が進むに従い、生物種の絶滅や、森林の減少といったリスクが高まることになるのです。

アマゾン流域では大規模な森林伐採が進んでいる/ Wikimedia Common

アマゾン流域では大規模な森林伐採が進んでいる/ Wikimedia Common

人間の健康への脅威(将来予測)

温暖化などの気候変動は、動植物だけでなく人間の健康にも大きな影響を与える。強力な熱波や火災による負傷、疾病、死亡のリスク、食料生産の減少による栄養不足のリスクは、特に低所得の開発途上国で高まると懸念されている。

日本においては、夏季の高温による熱中症患者の数が近年増える傾向にあり、今後も増加すると予測される。熱ストレスによる死亡リスクは、2050 年代には198 ~ 2000年に比べて約1.8 ~2.2倍、2090年代には約2.1 ~ 3.7倍に達するといわれている(2100年における平均気温上昇が産業革命以前に比べて約2.1 ~ 3.8℃となるCO2排出シナリオの場合)。

最も温暖化を抑えた「RCP2.6」シナリオの場合でも、熱ストレスによる超過死亡数は、年齢層にかかわらず、全ての県で2倍以上になると予測される。

熱中症死亡による経済的な損害も大きく増加します。最も温暖化が進む「RCP8.5」シナリオの場合、現在と比べて21世紀末には1年当たり1479~5218億円も日本で被害額が増えると試算されている。

人間の健康への脅威

Wikimedia Common

止まらない森林減少・劣化(CO2吸収源の消失)

森林はCO2の重要な吸収源のため、森林の伐採や劣化が進むと、森林に貯えられている炭素を放出するので、温暖化を促進することになる。2000~2010年に世界で約5200万ヘクタールの森林が減少し、森林面積は 40億ヘクタール強にまで減少している。

特に消失面積が大きい国は、ブラジル、インドネシア、オーストラリアであり、森林減少の主な要因は、熱帯林の農地への転換である。アブラヤシ、ゴム、コーヒーといった商品作物や輸出用農産物の生産拡大がげんいんである。しかし、森林減少には農地転換や土地開発といった直接的な要因以外にも、市場経済の拡大、貧困、人口増加などの背景要因があり、これらが複雑にからみ合っている。

こうした森林減少を原因とするCO2排出は、世界全体の排出量の2割を占めるといわれる。これは、化石燃料を燃やすことによるCO2排出量に次いで大きな割合を占める。

日本の取組低炭素社会の実現に向けて

森地球温暖化対策を進めるうえでは、国際社会が協力して取り組んでいかなくてはならない。

日本は、「攻めの地球温暖化外交戦略」の下、国際的なパートナーシップを強化し、革新的な環境技術を世界に展開していくことによって、地球規模の温暖化対策に大きな貢献を果たしている。国内では、産業・エネルギー構造や国民のライフスタイルの変革を促し、低炭素社会の実現を目指す。

地球温暖化対策は、科学的知見に基づき、国際社会が協調しながら進めていく必要がある。日本は、温室効果ガスの排出量を2050年までに世界全体で少なくとも半減、先進国全体で80%削減するとの目標を掲げている。

その実現に向け、2013年11月に発表した「ACE(Actionsfor Cool Earth): 攻めの地球温暖化外交戦略」の下、さまざまな取組を行っており、革新的な技術開発を主導し、優れた低炭素技術やシステムなどを世界に普及させることによって、地球規模での温室効果ガス削減に貢献しようとしている。

同時に国内においても、日本の産業・エネルギー構造や、国民のライフスタイルの変革を促すことによって、低炭素社会の実現を目指している。

日本の取組低炭素社会の実現に向けて

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国際社会の動き近年の国際交渉の流れと途上国支援

2015年3月現在、EUは2030年までに少なくとも1990年比40%削減とする目標を国連に提出し、米国も2025年近年の国際交渉の流れと途上国支援までに2005年比26~28%削減することをすでに表明した。

世界全体の温室効果ガス排出量に占める途上国の排出量比率は年々増加しており、地球全体の温室効果ガス削減には、途上国における対策を推進することが不可欠だ。

このため日本では、優れた環境技術、経験、ノウハウを提供するとともに、積極的な資金支援を進めている。

COP21(パリ)/ Wikimedia Common

COP21(パリ)/ Wikimedia Common

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