医療施設のエネルギー消費量削減

2017/02/20
by 編集部

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トップダウンでルールを定め、省エネを進める体制を作り出す

それでは省エネ診断からみて、医療施設はどのように省エネに取り組んだらよいのだろうか。

東京都地球温暖化防止活動推進センター、省エネ推進チームの大西義人氏は「CT、MRIやレントゲンなど電力ベース負荷が大きい機器が導入され、しかも医局、ナースステーション、待合室などでは空調、照明がつけっ放しの状態で、光熱費が経営を圧迫している病院が多いですね。経営者は何とかエネルギー消費量を削減したいと考えておられる。ところが中小の病院では、大規模病院のように省エネの方針が設定されていない。省エネ担当者はおろか設備管理者も指定されていないところがあります。その結果、省エネへの取り組みが進まず、診断時に運用改善の方法を教えて欲しいというケースも多々あります」と話す。

そこで大西氏は、まず院長がトップダウンでルールを定めることが、省エネ対策の第一歩だと提案する。

たとえば室温が夏は28度、冬は20度にといっても、一律に病棟、待合室、事務局などに温度設定できない。「大病院はそうした管理基準を決める専門スタッフがいて、中央監視で空調などをスケジュール管理しています。一方、中小規模の病院ではそうした人員もシステムもない。そこで管理部門のスタッフが院長の下で、病室、手術室、ナースステーション、事務系バックヤードと、それぞれの設定温度、設定照度を決めていき、そうしたルールをみんなで確認して守っていくという体制を作り出すことが必要です」(大西氏)。

その際、電力・ガス使用量、最大電力の見える化を図ることも重要だ。月ごとや設備ごとにエネルギー消費量を把握し、それに基づいて省エネ対策を計画し、実施し、結果を検証する。人手が掛けられない場合は、エネルギーマネージメントシステムや人感センサーなどの導入を検討してみることも必要だろうという。

宮田氏は「病院はエネルギー使用量の原単位が大きいので運用改善だけでも効果が大きい。空調機器、ボイラー、冷凍機なども更新しなくても、インバータ化や台数制御、チューニングなど運用改善対策によって、大きな省エネ効果を得ることができます。中小規模の病院ではまず、トップが省エネ対策でリーダーシップを発揮することが大事になります。その上で本来業務にしっかり取り組みながら、無理をせずに取り決めたルールに従い、少しずつ結果を出していくことです。我慢は長続きしませんから」と息の長い取り組みを勧める。

大西義人氏

大西義人氏

公益財団法人東京都環境公社 東京都地球温暖化防 止活動推進センター省エネ推進チーム

助成制度を活用し、省エネ対策を進める

こうした病院を含めた中小規模事業者の省エネ対策に対して、東京都では様々な支援・助成制度も用意している。まず、「中小企業者向け促進税制」では地球温暖化対策報告書を提出した事業者が環境局が指定する空調・照明・小型ボイラー・再生可能エネルギー設備を取得した場合、事業税から設備の取得額(上限2000万円)の2分の1が減免される。また「クラウド利用による省エネ支援事業」では省エネ性能に優れたデータセンター上のクラウドサービスに移行する場合も、必要な経費の一部が助成される。

さらに「熱電エネルギーマネジメント支援事業」では創エネ機器(コージェネ、太陽光発電システム)や省エネ機器(LED、空調設備)を中小医療施設(病床20床~200床未満)に設置する場合、ESCO事業者に経費(上限1億円)の2分の1が助成される。宮田氏は「是非、こうした助成制度を活用し、省エネ対策を一歩先に進めて欲しい」と期待する。

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