コラム

予防医学を課題にもつ地域社会に参画する

2016/10/06
by 西根英一

マッキャンヘルスコミュニケーションズ CKO(最高知識責任者)

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第1回 生活者ニーズと社会的課題から発想するヘルスケアマーケティング

地方創生戦略と健康長寿産業施策への関心から、全国各地で機能性食品を開発する機運が高まっている。特産物と呼ばれていただけの製品が大化けするチャンスが到来した。

さじ加減だけを頼りに治療する医師は、もういないだろう。治療医学の世界では、EBM(Evidence Based Medicine,科学的根拠に基づく医療)が当たり前のように行われる時代になった。

ヘルスケアビジネスの軸は、治療医学から予防医学へと移り変わりつつあり、予防医学にも「エビデンス」が求められている。その予防医学のど真ん中にある「食」に対して、いま、EBN(Evidence Based Nutrition,科学的根拠に基づいた栄養摂取・食事管理)が大きく注目されるようになってきている。

行政もその風潮を煽るように、「機能性表示制度」をこの春から開始した。健康をテーマに食品製造に係わる企業のおよそ7割が、いずれ機能性表示の適う食品や飲料を販売すると答えている。いわゆる健康食品というものが、近い将来、この「機能性表示食品」と同義語になる可能性が高い。

さて、シリーズ第1回は、治療医学の世界にいる医師に向けて、そのとなりの予防医療のビジネスチャンスについてマーケティング的視座をもって解説したい。

というのは、この領域にはまだ、特定された専門職がいないのだ。世間では、薬剤師がコミュニケーションスキルを学んだうえで、この役割を担うべきと主張したりする方がいたり、管理栄養士がきちんとエビデンスを学んだうえで、これをやるべきとの向きが強い。でもだ。もっとも適しているのは、医師ではないかと思うのだ。 少なくとも、生活者は、薬剤師よりも管理栄養士よりも、医師を健康維持・増進のパートナーとして信頼している。

つまり、マーケティングでいうところのタッチポイント(商材の価値観が共有される時機ないし場所)をすでに有し、インフルエンサー(商材価値を際立たせる人や物)としての地位を確立している医師こそ、EBNの担い手になるべきと考えるからだ。

ゆるキャラに代わるポジションが機能性表示食品

地方創生戦略と健康長寿産業施策への関心から、全国各地で機能性食品を開発する機運が高まっている。私は、複数の都道府県からの相談を受け、自治体職員や食品団体委員に、「機能性食品のマーケティング戦略」の類いの話をしている。

私に対する彼らの興味関心は、「製品」を「商品」化するブランディングの手法だ。

第一次産業の農産物・海産物、つまり、いままで特産物と呼ばれていただけの製品が大化けするチャンスが到来したからだ。「ゆるキャラなんかにお金をかけているよりも確実!」となる。地元の第一次産業の特産品、それを加工する第二次産業、流通を手掛ける第三次産業、さらに情報をつくる第四次産業が参画し、一気通貫した新産業をつくり上げることができるわけだから、ゆるキャラ開発にうつつを抜かしている場合ではない。

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著者

西根英一 氏

マッキャンヘルスコミュニケーションズ CKO(最高知識責任者)

健康・医療・美容のビジネス開発、マーケティング戦略とコミュニケーション設計を専門とする。厚労省「すこやか生活習慣国民運動」(健康日本21)の推進室室長等を歴任。近著に、『生活者ニーズから発想する健康・美容ビジネス「マーケティングの
基本」』(宣伝会議)


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