多職種連携と多文化協働 ~外国人介護職の増加と多文化協働介護マネジメントの必要性~

2019/06/28 神山 資将
by 神山資将

一般社団法人知識環境研究会 代表理事

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介護といえば「人手不足」という語がすぐに想起されるだろう。介護人材の不足はもはや福祉政策や労働政策上の問題というより、日本社会の重要課題となっている。介護入職者の不足を補うため、外国人の力を借りる選択肢を真剣に考える段階となった。

浸透しつつある外国人介護職

 介護という、こころにもかかわるような場面もあるかもしれない職を外国人が担うことに不安や拒否感を持つ人もいるかもしれない。しかし、現実はもっと先に進んでいる。外国人介護職に気持ちよく働いてもらえる環境づくりや利用者との関係づくりの工夫といった段階に進んでいる。
 弊会の調査では、約3割の介護職が外国人介護職の同僚がいると答えている(図1)。

 この調査は2017年に行ったもので、この時点では外国人介護職はまだ少数派とみなすこともできる。しかし、技能実習生制度が介護の分野にも浸透した後には、その割合は大きく増加していることだろう。

「不安の源」を「刺激・価値」へ転換

 外国人介護職について不安を感じることは、「日本語・方言・記録」「職員とのコミュニケーション(言語以外)」「生活習慣・文化の違い」が上位を占めた。やはり、言葉や習慣、価値観などコミュニケーションに関連した事柄が不安の源であることがうかがえる。
 次いで「受け入れ・指導体制」が挙がっている。これは外国人介護職のサポートを行うのと同時に、彼らの多様性を日本人介護職との間で融和させていくようなマネジメントが必要であることを意味しているのではないだろうか(図2)。

 例えば、このような事例がある。外国人介護職の受け入れ前には懸念されていた「言語や文化の違い」といったネガティブなものが、適切な受入環境やサポート体制を構築したことで、ポジティブなものとしてとらえられるようになったという。外国人介護職が持つ異なる文化的背景の問題は、受け入れ施設側の環境整備・サポート体制構築によって「リスク」ではなく、ケア現場への「新しい刺激」や「価値」へと転化させることができるのだ。

多文化協働を踏まえた現場マネジメントを

 今後、日本の介護におけるマネジメントには「多文化協働」を取り入れなければならない。介護現場のリーダー人材には、ともに働く外国人介護職がもたらす多様性をケアのなかで肯定的な価値へと転換するようなスキルが必要となるだろう。職種間でも思考スキームが異なり、利用者と職員間でも思考スキームは異なる。さらに文化の異なる思考スキームを持つ人材が同僚となる介護現場は、コミュニケーションの土台から揺らぎが起きているといえる。

【参考】
 一般社団法人知識環境研究会「介護職の思考傾向と日本の介護人材マネジメントの展望(調査)」平成28年、介護職を対象に行った、外国人介護職に対する意識調査。
 本調査は弊会主催研修の受講者および調査協力者(主に介護現場のリーダー層)103名を対象に2017年3月から2017年12月まで実施し、回答は調査票で回収した。

著者

神山 資将

神山資将 氏

一般社団法人知識環境研究会 代表理事

国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士前期課程修了(修士(知識科学))。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 産学連携研究員、財団法人政策科学研究所研究員を経て現職。医療サービス科学の研究の一環として、思考スキームに基づいた多職種連携研修を実施中。


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