医師・患者・企業をつなぎ、人生に沿うサービスを

2019/01/07
by 編集部

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医療・ヘルスケアビジネスにおいて「医師である」ということ

医師専用のコミュニティサイト運営から、医師と患者、企業をつなぐ領域に事業を展開してきた石見氏。医療・ヘルスケア業界で医師が事業を立ち上げる利点について聞いた。

「未解決の課題を、スピード感をもって解決しようとするのがベンチャーです。でも、何かを変えるときには必ず軋轢があります。日本であれば規制でしょう。解決すべき課題がある業界というのは規制が多く、そして外から見えづらい傾向があります。こういう状況は、中の人が変えるか、外圧で変わるかのどちらかです。医療の世界で言えば“中の人”である医師だからこそ、外せるハードルがあるのです。医師による薬の口コミ評価を始めたときには製薬企業からネガティブな反応もありましたが、医師としての立場や思いを説明することで理解してもらい、結果事業を進めることができたと思っています」。

医師としての経験やマインドは、もちろん自社サービスの開発にも生きている。そのためもあり、石見氏は経営者として多忙な日々を送りながら、今でも週1回、現場に出て診療を行っている。

「“臨床の肌感覚”を保っていたいのと、現場での不満・不足を捉えたいのです。もともとの専門は循環器内科ですが、今は一般内科で軽い風邪から糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を診ています」。

最近では、メドピアの活動とは別で、在宅医療の現状を知るため訪問診療特化型の診療所を開設して訪問診療も行っている。こうして現場に出た石見氏が思うのは、「まだまだできることはたくさんある」ということだという。

しかし、“中の人”であることと、事業の成功は必ずしも一致しない。ウェブサービスであれば画面構成図や要件定義という工程が必要になるが、医師はその点のプロではない。できあがったサービスを使って「こうじゃない」とは言えるが、「こうあるべき」と言うのは難しい。その道のプロ、業界の外の人と組むことももちろん必要になる。

新しいものを生むための「場づくり」

しかしながら、医療の世界は専門性が高く、また細分化されており外部との交流が少ない業界でもある。そこで石見氏は、ヘルスケア領域におけるイノベーションの場づくりにも取り組んでいる。そのひとつが2017年12月に東京で開催されたヘルステックのグローバルカンファレンス・Health 2.0 Asia。メドピアは、2015年から本イベントの発祥であるHealth 2.0 LCCとのパートナーシップのもと、日本での開催を牽引している。

「このイベントを始めたのは、ヘルスケアで何かしたい人、ビジネスに関心がある人たちを結びつけるハブになれればという気持ちもありました。いろいろな人が混ざり合わないと、新しいものは生まれません。メドピアとしてそういう場づくりを担いたいと思っています」。

2017年のHealth 2.0 Asiaで石見氏の印象に残ったのは、起業家医師・ドクトレプレナー(Doctor+Entepreneurの造語)が増えていること。

「ここ2〜3年でぐっと増えているように感じます。手前味噌ですが、要因としてメドピアの上場があったのかもしれません。現役の医師をしながら上場したのは史上初でしたから、そういう道もあるよと示せたのかなと思います。人間、見えないものはないものと考えてしまいがちです。起業というルートが見えるようになり、そちらを考える方も増えたのではないでしょうか」。

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