Book Review『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』

2018/06/14 編集部
by 編集部

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Book Review『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』

書名を見ると、患者向けの啓発書のように感じるだろう。しかし、それにとどまらずさまざまな角度からの学びを得られるのが本書の魅力である。
著者は、2017年に東京都練馬区に開院したねりま健育会病院 院長の酒向正春氏。脳卒中治療を専門とする脳神経外科の専門医として研鑽を積むなかで、脳卒中の治療後に患者に残された能力を引き出すリハビリテーションの重要性を感じ、リハビリテーション医に転向した経歴を持つ。

本書では、現在の医療制度におけるリハビリ医療のしくみとともに、“患者さんが病院を選ぶ時代”になりつつある現状が解説される。そして、リハビリ医として多くの患者さんと接するなかで酒向氏が感じた、“治る”患者さんの特徴がいくつかの事例とともに紹介される。そこに共通するのは患者さん・家族がともに「回復したい」という強い気持ちを持っている点だ。そして、酒向氏の医療チームがその想いに応えるという相互作用によって結果があらわれる。

さらに本書では、酒向氏の医療チームのメンバーである理学療法士や作業療法士が、自らの業務内容や日々の業務で感じることを語る。ここから感じられるのは、リハビリという医療は非常に多くの医療職の連携のもとに成り立つ医療であるということと、「患者さんもまた、チームの一員である」というメッセージである。そしてその医療チームにゴールを示し、目標に向かって進む多様なメンバーを後ろから見守り、支える、酒向氏のチーム運営の妙も感じることができる。

患者・家族にとっては医療を受ける際の心構えの書として、また医療者にとっては患者さん・ご家族との関係づくりや、チーム医療におけるチームビルディングを学ぶ書として、ぜひご一読をお勧めしたい1冊である。

『患者の心がけ 早く治る人は何が違う?』

著 :酒向正春
発行:光文社
定価:本体780円+税
判型:新書判
ISBN 978-4-334-04335-3
発売:2018年2月15日

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