多職種連携コミュニケーションにおける「違い」の源泉~わかりあうのを妨げるものは何か?~

2019/04/01 神山 資将
by 神山資将

一般社団法人知識環境研究会 代表理事

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多職種連携コミュニケーションにおける「違い」の源泉~わかりあうのを妨げるものは何か?~

(写真はイメージです。本文とは関係ありません。)

異なる職種でコミュニケーションする際に違和感を抱くとするなら、その源泉は何でしょうか?ここでは2つの視点から整理してみます。

何を要素として考えるのか

 第一の視点は、「物事を考える時に何を『まとまり』『要素』とするか」です。人間は、同じ現象や物を見たとしても誰もが同じように認識するとは限りません。背景に持つ知識や観察する力によって、異なる認識をすることがあります。
 たとえば、ある人がお腹を抱え込むようにして苦しんでいるとしましょう。ある人は「お腹を抱え込んでいる」ことから腹痛だと認識するかもしれませんし、別の人は、寒気がするので、丸まって苦しんでいると認識するかもしれません。観察の際に、何を認識するか、認識したことをどのようなまとまりとするかによって、思考の方向性は異なったものになります。
 思考を「事実」「根拠」「行動」という枠組みで整理する「思考スキーム」について前回説明しましたが、思考スキームの要素を何にするかが、多職種連携コミュニケーションの際に違和感をもたらすことになります。
 ある人は「事実」だと認識したことが、別の人にとっては「事実」ではないかもしれません。
 筆者は、介護職と看護職を対象者に、同一の事象を両職がどのように認識するかを調べる実験しました。結果、介護職と看護職が認識したことについては両職間でそれほど大きな差は認められませんでした。

嘔吐事例における思考スキーム「事実」の出現状況

嘔吐事例における思考スキーム「事実」の出現状況

出典:神山資将(2014)「メタ認知に基づいた、医療介護連携教育の方策」
第7回日本保健医療福祉連携教育学会学術集会(新潟)

 では、なぜ介護現場などで協働することが多い介護職と看護職の間で、コミュニケーション上の問題が起こるのでしょうか。

要素をどのように組み合わせて考えるのか

 実験の結果、介護職と看護職の間で異なる点がありました。「事実」「根拠」「行動」の組み合わせ方です。これが第二の視点、「認識したことをどのように組み立てて考えるか」という点です。この組み立て方には介護・看護職間で違いがありました。看護師は組み合わせにパターン化が強く行われていましたが、介護職はパターン化が弱く、「事実」「根拠」「行動」を様々な組合せで考えていました。

両職の違いは思考スキーム要素間の関連性の想起にある

 コミュニケーションがうまくいかないという際には、「認識」に違いがあるのか、それとも認識したものの「組合せ」が違うのかを冷静に分析するのもよいでしょう。

著者

神山 資将

神山資将 氏

一般社団法人知識環境研究会 代表理事

国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科博士前期課程修了(修士(知識科学))。独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 産学連携研究員、財団法人政策科学研究所研究員を経て現職。医療サービス科学の研究の一環として、思考スキームに基づいた多職種連携研修を実施中。


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